裁判の傍聴に行かれたことはあるだろうか?学生の頃に裁判所の見学に行ったことがある人が多いのではないだろうか。
ニュースで「懲役◯年」「執行猶予◯年」という言葉を聞くことは多いが、どのようにして量刑が決まっていくのか?裁判の傍聴に興味がある人は是非チェックしてもらいたい。
裁判所とは
日本では三権分立という仕組みによって国政が成り立っているが裁判所は司法を実行する。
簡単にいうと法律に基づいて争いごとを解決する場所だ!
日本では三審制が設けられており、裁判所の判断に納得が行かない場合は上級裁判所に不服申し立てをして、計3回の裁判を受けられることになっている。原則法廷で行われる手続きは誰でも傍聴できることになっている。
裁判の種類
裁判の種類は「刑事」と「民事」に分かれるが、ここでは主に刑事裁判について取り扱う。
刑事裁判
窃盗や殺人などの犯罪行為に関する裁判。裁判官は検察官と被告人の言い分を聞き、有罪か無罪かの判決を下す。有罪の場合には刑罰を言い渡す。
民事裁判
お金の貸し借りや相続のトラブル、損害賠償請求など、個人や企業間の争いに関する裁判。原告(訴えた側)、被告(訴えられた側)のどちらの言い分が正しいかの判決を出す。
裁判傍聴に興味を持ったきっかけ
もともと少年犯罪や犯罪心理について興味があり過去の事件などを調べるのが好きだった私は「モリのアサガオ」という漫画に出会う。
この漫画は死刑制度をテーマに取り上げた作品だ。新人刑務官と或る死刑囚の友情を描いた漫画だが、お互いの心理や苦悩がリアルに描かれている。死刑執行シーンは、苦しくも目を離せない。死刑制度について非常に考えさせられる衝撃作品だ。
この漫画内ではいくつかの法廷シーンが描かれており、私は「どのように量刑(刑罰)が決まっていくのか?」と興味を持った。実際に自分の目でどのようにして人が人を裁くのか知りたいと思ったのだ。
裁判傍聴の手順、マナー
ではどのように裁判を傍聴すればいいのか、順を追って詳しく説明をしていこう。
近くの裁判所を探す
まずは近くの地方裁判所をこちらの裁判所ホームページから探そう。
なぜ地方裁判所なのかというと、新件(初公判といい、事件の概要から説明が始まる)の取り扱いが多いからだ。こちらについては詳しく後述する。
ちなみに東京地方裁判所は東京高等裁判所と同じ庁舎にある。霞ヶ関にある日本で一番事件数の取り扱いが多い裁判所だ。
裁判所はいつ開いているのか
土日祝を除く平日のみ。(年末年始などを除く)
法廷が開かれている時間は、午前は10:00頃から12:00頃まで、午後が13:00頃から16:00頃まで。
裁判所に着いたら
事前申込みは不要、無料で傍聴することができる。東京地裁では関係者入口と一般入口があるので、一般入口から入ろう。裁判所によっては空港のような荷物検査があるので係員に従おう。
どのような裁判が行われているのかは基本的に裁判所でしか確認できない。ロビーにある「開廷表」もしくは各法廷の入口に掲示されている「予定表」を確認しよう。
傍聴したい裁判(公判)を探す
開廷表は家庭裁判所、地方裁判所、高等裁判所毎に紙でファイリングされている。東京地方裁判所ではなんと電子化され、タッチパネルに変わっ他のだ!紙の時代が懐かしい…
まずは地裁の開廷表を見てみよう。記載されている内容は以下の通りだ。
- 開廷時間
- 法廷番号
- 事件名、事件番号
- 被告人名
- 審理の状態(新件、審理、判決)
まず初心者は⑤の審理の状態を確認し「新件」を選ぼう。
新件
初公判(第1回目公判)という。刑事事件では被告人の身上経歴が読み上げられ、年齢や職業、被告人がどのような人生を送ってきたのかがわかる。また被告人の動機、事件に至る経緯内容も詳しく説明されるので事件内容の理解がしやすい。
審理
2回目以降の公判。前回の続きからとなる。
判決
裁判官からの判決の言い渡しのみのため、数分で終わる。
次に興味のある事件を選ぼう。事件名には「罪名」が記載されているので、事件のイメージがつく。例えば、
- 殺人
- 暴行
- 傷害
- 窃盗
- 詐欺
- 覚せい剤取締法違反
- 強制わいせつ
- 強制性交等
などだ。ニュースになりやすい「殺人」や「わいせつ系」は非常に人気があり、小さい法廷だと満席なことが多い。
ちなみに裁判員裁判制度の公判は、この事件名欄に記載されるので一目でわかる。通常の公判はかなりスラスラと手続きが進んでいくが、裁判員裁判は一般市民から選ばれた裁判員に事件の内容を理解させるため、手続きもゆっくりで非常にわかりやすいので初めての方におすすめだ。
傍聴したい法廷へ向かおう
法廷ドア上に「開廷中」のランプが点灯したら入廷ができるが、満席の場合は入廷できない。(立ち見は禁止)
ここで傍聴のマナー、注意点について解説する
- 携帯電話の電源を切る
- 脱帽する
- はちまき、ゼッケン、たすき、腕章を着用しない
- 危険物、旗、のぼり、プラカード、ヘルメットを持ち込まない
- 写真撮影、録音は禁止
- 読書や新聞、居眠りは禁止
- 飲食禁止
- 静かに傍聴し、発言や拍手、騒がしい言動をしない
- 裁判長や裁判所職員の指示に従う
開廷時と閉廷時に起立と一礼があるので傍聴人も一緒に行う。あとは座って傍聴をするだけだ。録音はできないが筆記用具によるメモは可能。
入廷、退廷はいつでもOK
公判の冒頭にある検察官による起訴状朗読でどのような事件かがわかるので、傍聴していて興味がないと感じた場合はいつでも退廷できる。
また途中からの入廷やトイレによる出入りも自由。しかし一度退廷して戻ってきたら席が埋まっており傍聴ができないこともあるので注意。
まとめ
裁判傍聴のハードルは高そうに感じるだろうが、実はそんなことはなく傍聴人は非常に多い。
裁判は公平に行われる必要があるため公開している。そのため私達一般市民にも知る権利があるのだ!
割と大きな事件が発生したらニュースで放送されるが、その内容はごくごく一部であることが裁判を傍聴するとわかる。またニュースにならないような事件も物凄く多いこともわかる。
裁判の傍聴は面白い。しかし被害者・加害者を含む全ての関係者の心情を考えると「興味深い」と表現した方がいいだろう。事実や真実を知ることが大切であると再認識できる良い機会でもあると思う。
裁判傍聴にお金はかからない。ぜひ社会勉強の一環として裁判傍聴をおすすめする。
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